「……慧……」
 たった一言だけど、俺の言葉は淫らなほど濡れてた。慧の瞳が微かに笑った。
「明日叶……」
 慧は俺の顎を取ると、再び口唇を重ねた。今度は快感を引き出す様に、ねっとりと舌を絡ませてくる。
「ふ、あっ……っ……慧……んっ……」
 俺からも積極的に慧を迎え入れて甘い感触を求めた。伸し掛かってくる慧の重みに身体が熱くなり、自然と脚が開いてゆく。そのとき、ジャケットのポケットの中で慧の携帯電話が鳴り出した。
「……っ……慧、電話……」
 一応、訊いてみる。
「後で良い。今は明日叶をもっと感じたい」
「うん……」
 そう言うと思った。俺も同じ気持ちだったから。

A 「でも、取らないと……」
B 「今は俺だけを見て、慧……」



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