『続 初夜』と『続 差し出すその手に』は『Ala carte』に収納されています。表題、または画像をクリックして下さい。

続 夕立

石塚  :こんにちは、伊藤君。
伊藤  :あっ、石塚さん、こんにちは……あの、この前は大丈夫でしたか? 随分、濡れてたか
    ら……風邪、引きませんでしたか?
石塚  :はい、直ぐに着替えましたから。伊藤君は大丈夫でしたか?
伊藤  :はい、俺は全然……あれは通り雨だった様ですね。石塚さんが外にいたときが一番酷
    かったみたいです。ついてませんでしたね。
石塚  :その点、伊藤君はさすがですね。もしかしたら、雨に濡れたことがないのではありませ
    んか?
伊藤  :う~ん、そういえば、殆ど記憶にないです。傘を忘れたときは誰かの置き傘を借りれた
    り、その前に上がったりしてることが多い気がします。
石塚  :では、今度、傘がないときは伊藤君を携帯することにします。そうすれば、私も濡れなく
    て済みそうですから。
伊藤  :えっ!? あの、携帯って……でも、その……俺……
石塚  :冗談です。
伊藤  :あっ、何だ……一瞬、本気かと思ってしまいました。
石塚  :申し訳ありません。
伊藤  :いえ……でも、俺で役に立つなら、いつでも呼んで下さい。雨がやむかはわかりませ
    んが、俺、傘を持って迎えに行きます。
石塚  :有難うございます。では、いつか、そのご好意に甘えさせて頂きますね。
伊藤  :はい、そのときは遠慮なく言って下さい。
石塚  :……楽しみにしています。


続 余熱

伊藤  :中嶋さん、少し休憩にしませんか?
中嶋  :ああ。
伊藤  :なら、俺、コーヒーを淹れますね。
中嶋  :いや、お前はそこに座っていろ。火傷でもされたら仕事が滞る。今日は俺がやる。
伊藤  :火傷って……あっ、もしかして、この手を心配してるのかな。別に痛くないのに……
    やっぱり優しいな、中嶋さんって……
中嶋  :……何か言いたそうだな。
伊藤  :はい、大好きです、中嶋さん。
中嶋  :そうか……大人しく待っていろ。
伊藤  :はい、中嶋さん。


続 素直な気持ち

伊藤  :はあ……俺、もう石塚さんに足を向けて寝れない。
遠藤  :ふ~ん、今日の啓太は大胆だな。まあ、俺としては、そういう啓太も大歓迎だよ。
伊藤  :えっ!? 何のこと?
遠藤  :もう寝ることを考えているんだろう。安心して、啓太……今夜は眠らせないから。
伊藤  :……っ……誰もそんなこと言ってないのに……和希の馬鹿。


続 芳香

伊藤  :……中嶋、さん……
中嶋  :何だ?
伊藤  :……好き、です。
中嶋  :そうか。
伊藤  :……中嶋さん……
中嶋  :何だ?
伊藤  :……大好きです。
中嶋  :そうか。
伊藤  :……中嶋さん。
中嶋  :何だ?
伊藤  :愛してます。
中嶋  :ああ、知っている。


続 嘆息

加賀見:いつも頑張ってはりますな、伊藤君、君には本当に感心します。
伊藤  :有難うございます。俺、大したことは出来ないけど、せめて皆の役に立ちたいんです。
加賀見:そないに謙遜することはありません。無欲な君の存在に誰もが大いに励まされてま
    す。本当に、見てはるだけなのが歯痒くなるほど……
石塚  :加賀見さん。
加賀見:おや、失礼。つい口が軽くなるところでした。これ以上、滑らない内に私は退散しましょ
    う。ほな、伊藤君、また……
伊藤  :あっ、はい……優しい人ですね、加賀見さん。
石塚  :……そうですね。人当たりは柔らかいですね。
伊藤  :いつか俺も石塚さん達の様に誰かを立派に支えられる人になりたいです。
石塚  :君は既にそういう力を持っていますよ、伊藤君。
伊藤  :なら、良いんですけど……
石塚  :それに気づかないのが伊藤君の美徳でもありますね。
伊藤  :有難うございます。石塚さんの様な人にそう言われると、凄く嬉しいです。俺、これから
    も頑張りますね。それじゃあ、失礼します。
石塚  :……歯痒くなる、ですか。それでも、私は今のままで――……


続 口唇と献身と

伊藤  :あっ……!
遠藤  :どうしたんだ、啓太……ああ、ここは昨夜、俺達が隠れていた場所か。あのときは可愛
    かったよ、啓太。
伊藤  :……っ……!
遠藤  :もう一度、キスしたいけれど、さすがに今は人目につき過ぎるかな。
伊藤  :当たり前だろう。
遠藤  :でも……したくない、啓太?
伊藤  :そ、そんなことある訳――……
篠宮  :伊藤、遠藤。
伊藤  :わっ……!
篠宮  :二人とも、こんな処で何をしている?
伊藤  :し、篠宮さん! えっと……あ……お、おはよう、ございます。
篠宮  :ああ、おはよう。
遠藤  :おはようございます、篠宮さん、別に何もしていませんよ。
篠宮  :そうか。二人とも、昨日は遅くまで海野先生を手伝っていたそうだな。急だったので寮
    への届け出が出来なくて二人には悪いことをした、と先ほど海野先生から連絡を貰っ
    た。厳密には違反だが、そういう事情ならやむを得ない。昨夜の不在は取り消しておい
    たから安心すると良い。
遠藤  :有難うございます。でも、今度から寮則はきちんと守ることにします。
篠宮  :ああ、そうしてくれ。特に遠藤、お前はな。
遠藤  :はい、気をつけます。さあ、行こう、啓太。
伊藤  :あ……うん。
遠藤  :良かったな、啓太、トノサマに助けられた。
伊藤  :うん、後でお礼に行こう、和希。
遠藤  :ああ……でも、良いのか、啓太?
伊藤  :何が?
遠藤  :俺達がキスしているところ、確実にトノサマに見られたんだよ?
伊藤  :……! 俺、そこまで考えてなかった。どうしよう、和希……俺、どんな顔してトノサマ
    に会えば良いんだろう……
遠藤  :なら、俺が教えてあげるよ。おいで、啓太、もう少し近く……もう少し……この階段の陰
    まで……
伊藤  :和希……?
遠藤  :そういうときは、素直な表情が一番良いんだよ。たとえば、こんな顔とか……んっ……
伊藤  :あ……和、希……んっ……ふっ……


2009.10.14
やはり加賀見の京都弁は難しいです。
でも、あの柔らかい言い回しが性格に合っています。
次は頑張って、
もう少し長い言葉を話して貰おうかな。

r  n

Café Grace
inserted by FC2 system