「慧、食事に行かないか? 今日は天気も良いみたいだからさ」
「ふっ……そうだな。久しぶりに明日叶とデートするのも悪くない」
「デートって……」
 慧の言葉に、一瞬、俺の頭は真っ白になってしまった。俺達は恋人同士だから確かにこれはデートだけど、はっきりそう言わなくても……
 また頬を赤らめる俺を見て慧がクスッと笑った。
「早く着替えろ、明日叶、でないと――……」
「き、着替えるから……!」
 俺は慌てて起き上がった。
 実は今まで慧とは殆どデートをしたことがない。魁堂学園にいた頃は、俺の休日は授業の課題と基礎体力作りに明け暮れた。マニュスピカになった今は慧とは大学で同じ講義を受けてるし、任務中も行動を共にしてる。でも、それはデートとは言わない。慧とベッドで過ごすのも……その……捨て難いけど、俺は折角のデートをふいにするつもりはなかった。ただ、この格好でベッドから出るのは……かなり恥ずかしい。殆ど裸だし……
「出掛ける前にコーヒーでも飲むか?」
 すっと慧が立ち上がった。
「あ……ううん、いらない」
「なら、向こうで待ってる」
 わかった、と俺は小さく頷いた。



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