誘惑の果て

織田 :安吾、しりとりやらん?
坂口 :また懐かしい遊びだな。どういう風の吹き回しだ?
太宰 :まあ、たまには良いじゃん。俺からいくぜ。田酒(でんしゅ)
織田 :雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)
坂口 :……優男。
太宰 :越乃寒梅(こしのかんばい)
織田 :一白水成(いっぱくすいせい)
坂口 :いけません。特にオダサク。太宰は明日の潜書が終わったら良し。
太宰 :やった!
織田 :何でや!? ワシも飲みたい!
坂口 :あんたは風邪気味だろう。お前達、飲みたいからって酒の銘柄ばかり言いやがって……俺
    も飲みたくなってきただろうが。
織田 :せやろ。せやろ。ワシも飲みたいわ~
坂口 :だから、今から玉子酒を作ってやる。紹興酒とビールを使った特製のな。
太宰 :何、それ。旨そう。俺も飲みたい!
坂口 :ああ、三人で飲もうぜ。これで風邪にも無敵の三羽烏だ!
ネコ :……で、夜通し飲んで風邪を引いたという訳か。三馬鹿烏が……


先見の明

織田 :これを切れば良いんやな……よっしゃ! ほな、いくで!
太宰 :ちょっと待った! 何やってんの、オダサク!? 何で両手に包丁なの!?
織田 :えっ!? ワシはいつも両手剣やから、包丁でもいけるかなと思って。
太宰 :筍と侵蝕者を一緒にしないで! これは俺が切るから、オダサクは安吾の方を手伝って!
織田 :太宰クンは細かいな。なら、ここは任せたで。安吾~、何か手伝うことある?
坂口 :おう、あるぜ。安吾鍋の仕上げという尊い作業がな。そこの瓶に入ってる山椒を少し挽い
    ておいてくれ。まあ、これはお好みだが、一応な。
織田 :引く……? わかった。なら、ワシの獲物を使うで。
坂口 :……!? 待て、オダサク! あんた、本から武器を取り出してどうする気だ!?
織田 :山椒を引くんやろ? せやけど、粒が小さいから使い慣れた物の方がええなと思って。
坂口 :話しながら、山椒を掌に出すんじゃねえ! そもそも、引くじゃなくて挽くんだ。だから、武器
    をしまえ。
織田 :そうなん? 日本語は難しいな。
坂口 :はあ……山椒は俺がやる。あんたは向こうで皿と箸を用意してくれ。
織田 :はいはい~、任せときや。
太宰 :……安吾、俺、オダサクに料理は危険だと思う。下手したら、調理台ごと切り裂かれる。
坂口 :ああ……遅かれ早かれ、掌をまな板替わりにして怪我するな、あれは。今後、オダサクは
    料理禁止だ。



2022.4.26
『Clap』のSSSを集めました。
小ネタで思いつくのは、
なぜか、いつもコメディです。

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