初めてのアイスに戸惑いながらも
興味津々で口に運ぶ尾崎です。
その表情が可愛いので、
有名な最中を添えてSSSを付けてみました。


 泉 :紅葉先生、午後の甘味をお持ちしました。
尾崎 :おお、気が利くのう、鏡花……して、これは何だ?
 泉 :アイス・キャンディという氷菓子です。この棒の部分を持ってお食べ下さい。
徳田 :これは小豆味ですね。甘くて冷たいので、きっと気に入ると思いますよ、先生。
尾崎 :……最中ではないのか。
 泉 :えっ!?
尾崎 :生前、我が命名して書を与えた最中があってのう。先刻、露伴とその話をしておったのだ。
徳田 :ああ、確か掛け紙は『金色夜叉』の挿絵師によるものでしたね。
尾崎 :うむ……あれは実に美味であった。懐かしいのう。
徳田 :その最中、あの店で今も売ってるそうですよ。
尾崎 :それは真か!?
徳田 :はい、国木田からの情報なので確かです。
 泉 :秋声、なぜ、もっと早くそれを言わなかったのですか! 紅葉先生、暫くお待ち下さい。直ぐ
    に買って参ります。
尾崎 :待て、鏡花、その必要はない。
 泉 :ですが……!
尾崎 :時代は常に新しく移ろいゆくもの。いつまでも古きに囚われてはならぬ。それに、これは暑
    気払いを兼ねておるのだろう。汝のその心遣い、我は嬉しく思っておる。最中は明日、買い
    に行けば良い。今日は皆でこのアイス・キャンディとやらを食すとしよう。
 泉 :紅葉先生、何と寛大な……!
徳田 :いや、単なる我儘だと思うけど……それを言ったら、また鏡花の小言が増えそうだな。



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