再び全員が揃ったので、丹羽は改めて状況を簡単に纏めた。
「今の時間は午後二時。郁ちゃんと七条は須藤と一緒に昼食を取って自室で一息ついてる。そこへ中嶋、啓太、遠藤が帰宅した。それで再開するぜ」
 すると、西園寺が僅かに柳眉を上げた。
「十時に外出して四時間……意外と時間がかかっているな。KP(キーパー)、三人は食事はしたのか?」
「いや、まだだ」
「ならば、マイナス補正を避けるためにも火垂祭へ行く前に食事を取るべきだな」

丹羽 :それじゃあ、昼食の場面から始めるか。坂井の家に帰宅した中嶋達は腹が減ったので食
    事をすることにした。須藤が三人の昼食がキッチンに置いてあると教えてくれたので、中嶋
    達はそれを軽く温めて右の部屋へと持って行った。そこはまた最初のときと同じ大部屋で郁
    ちゃん達は中央に机を出して茶を飲んでるぜ。ここからはRP(ロール・プレイ)で情報を交換
    してくれ。ちなみに、須藤は特にすることもねえから左側の部屋で神棚の御緒鍵(おおかぎ)
    を調べたり、他に何か面白い物はねえかと押入れを漁ってるぜ。大声でも出さねえ限り、話
    を聞かれる心配はねえな。
西園寺:全く……民俗学者の名が泣くな。では、三人は食事中なので私から話を切り出す。神棚
    の御緒鍵(おおかぎ)を調べてみた。
中嶋 :何かわかったのか?
西園寺:微妙なところだ。あれには美術的な価値は全くなかった。祭りの儀式で使うので雑ではな
    いという程度の作りだ。だが、同時に素晴らしい彫刻に宿る生命の輝きにも似た強い活力
    を感じた。
伊藤 :それって何か変ですね。
中嶋 :美とは主観的なものだ。西園寺が単にそれを充分、感じ取れなかっただけかもしれない。
西園寺:その可能性は否定しない。
七条 :いいえ、郁の美を見る目は確かです。僕は郁を信じます。
西園寺:有難う、臣。
遠藤 :俺には芸術は良くわかりませんが、あれは素人目にも綺麗な作りとは言えませんでした。
    確か花の様な模様があっただけでしたね。
七条 :あれは火を垂らす五弁の花の印と呼ぶそうです。須藤さんが坂井さんからそう聞いたと
    言っていました。
伊藤 :へえ~、綺麗な呼び方ですね。
遠藤 :花の印、ね……
    (旧き印が代々伝わる内に変形したのか)
中嶋 :ふっ……面白い。
    (火垂祭の目的はシアエガの封印か)
西園寺:私達の方は以上だ。お前達はどうだった?
伊藤 :それが……赤い提灯のことは何もわかりませんでした。村の人から地図を見せて貰ったん
    ですが、どこに何色の提灯を飾るか細かく指定されてるのに赤だけ書かれてませんでした。
七条 :では、赤い提灯は山に飾らなかったんですか?
伊藤 :いえ、坂井さんが持って山に行きました。
西園寺:成程……それで、お前達は坂井の後をつけて時間がかかったのか。
伊藤 :いえ、それが……和希、西園寺さん達に智子ちゃんのことを話すよ。
遠藤 :……何かあったのか?
伊藤 :うん……俺、智子ちゃんを助けたいんだ。でも、それには皆に協力して貰わないと駄目だ
    と思うんだ。
遠藤 :そうか……なら、先に俺の話を聞いて欲しい。その方が皆も……啓太も、納得出来ると思
    うから。
伊藤 :わかった。
西園寺:漸く話す気になったか。
遠藤 :はい……今まで黙っていましたが、俺は警察内でも主に神話生物に関する事件を専門に
    取り扱う部署に所属しています。神話生物とその奉仕種族を人の手で倒すのは容易なこと
    ではありません。被害を最小限に抑えるためには、いかに召喚を阻止するかに懸かってい
    ます。そして、大抵の場合、そこには人が関わっています。皆さんも杉山邸での事件の際、
    その片鱗を見たはずです。
伊藤 :奈緒美さん……
遠藤 :今回、俺がこの村に来たのはそうした情報収集の一環でした……ごめん、啓太、騙す様な
    真似をして。
伊藤 :そうだったんだ。あのとき、和希が急に休みが取れたって言うから変だなとは思ったけど、
    仕事だったんだ……
西園寺:こんな山間の村に一人旅は目立つから啓太を誘ったのか?
遠藤 :はい、俺の任務は火垂祭が無事に終わるのを見届けることです。それには観光客を装う
    のが一番良いと考えました。今にして思えば、軽率だったと反省しています。でも、奥飛騨
    に着いたら啓太には総て話すつもりでいました。
伊藤 :……
中嶋 :勝手な事後承認だな。
遠藤 :わかっています。批難なら甘んじて受けます。
七条 :伊藤君、もっと文句を言って良いんですよ。君にはその権利があります。
伊藤 :あ……いえ、俺は別に怒ってません。最初に言って欲しかったなって気持ちは少しあるけ
    ど、和希が誘ってくれなかったら俺は智子ちゃんには会えなかった。だから、和希、謝るなら
    代わりに智子ちゃんを助けて欲しい。あれは絶対に火垂祭と関連があると思うんだ。
遠藤 :啓太……わかった。出来る限りのことはする。約束するよ。
伊藤 :有難う。
七条 :すみません。僕達は未だに話がわからないんですが、その智子さんというのはどんな人な
    んですか?
伊藤 :あっ、右目に包帯をした十七歳の女の子で、昨日、散歩の途中で会ったんです。精神的に
    少し不安定だったので、今日、話を聞かせて貰うために家に行くと約束しました。
西園寺:なぜ、それを昨日の内に話さなかった?
遠藤 :俺が啓太にそう頼みました。細川智子は十二年前の火垂祭の緒締役で、恐らく今も右目
    に神話生物が憑いています。更にそのとき、もう一人の緒締役――中尾伸康――という子
    供が行方不明になる事件が起きました。だから、念のため智子と接触する人数は抑えるべ
    きと判断しました。
西園寺:その子供は智子に憑いた神話生物に襲われたのか?
遠藤 :わかりません。それはまだ可能性の一つに過ぎません。ただ、現場に居合わせた坂井は
    沢に落ちたと言っています。
七条 :どうやら坂井さんの言葉を信じてない様ですね。坂井さんは嘘をついているんですか?
遠藤 :坂井の証言には明らかな矛盾点があります。坂井によると智子の右目は木の枝で負傷し
    たことになっていますが、直後に診断した眼科医の話ではどこにも外傷はありませんでし
    た。緒締役の子供は一緒にいたはずです。片方が嘘なら、もう一方も疑うのは当然です。
伊藤 :うん、智子ちゃんの顔には傷なんて一つもなかったよ。
遠藤 :なかったって……智子の瞳を見たのか、啓太!?
伊藤 :あ……うん、和希が別室に行った後、中嶋さんと俺は暫く智子ちゃんと話して右目を見せ
    て貰ったんだ。
中嶋 :智子が光が痛いと言うから薄暗い納戸の中でな。
西園寺:ほう?
    (光が弱点の旧支配者……シアエガか)
七条 :智子さんの右目はどんな状態だったんですか?
伊藤 :あれは……人の瞳ではありませんでした。黒目が別の生き物の様にくるくると動いて形を
    変えるんです。何か……凄く嫌な感じがしました。
遠藤 :間違いなく神話生物だ。はあ……啓太が無事で良かった。
西園寺:お前が付いていながら、迂闊な行動だったな、中嶋。
中嶋 :それは結果論だ。遠藤が昨日の内に話していれば、俺はこいつに智子の瞳を見せはしな
    かった。
伊藤 :中嶋さん……
    (俺のこと心配してくれるんだ……ちょっと嬉しいかも)
中嶋 :現時点でわかっていることは火垂祭とは恐らく神話生物を封印する儀式だ。そのことは御
    緒鍵(おおがき)、緒締役という言葉から容易に推測出来る。問題はそれが何か、だ。
    (シアエガと知るには『クトゥルフ神話』が必要か)
七条 :敵の正体がわからなければ対策が練れませんね。
    (僕の5%では無理でしょうね、きっと)
西園寺:十二年前の火垂祭の際、何らかの事情で神話生物が現れたが、智子以外に異常がない
    ところから封印はまだ機能している。だから、まずは坂井から封印の方法を聞き出すべきだ
    ろう。そうすれば、智子の右目に憑いた神話生物の取り除き方がわかるかもしれない。
七条 :ええ、今はそれしか手がありませんね。
伊藤 :あの……話の腰を折る様ですが、西園寺さんと七条さんも協力してくれるんですか?
七条 :ここまで話を聞いて今更、しないとは言えません。それに僕にとっては次回作のヒントにな
    るかもしれませんから、とても興味があります。
西園寺:私達に協力して欲しいと言ったのは啓太だろう? 何だ。要らないのか?
伊藤 :そんなことありません。西園寺さん達も協力してくれて、俺、凄く嬉しいです。
西園寺:そうか。
丹羽 :(これで情報の共有は出来たな。そろそろ進めるか)
    話が一息ついて中嶋達の食事も終わったとき、不意に襖が開いて須藤が入って来た。
須藤 :皆さん、もうじき日が暮れます。そろそろ広場へ行きませんか? 火垂祭は日暮れと同時
    に始まるらしいので、見逃したらここまで来た意味がありませんよ。
丹羽 :須藤は腕時計を指差した。時間は三時半……山間の日暮れは早いから須藤は少しそわ
    そわしてるぜ。どうする?
西園寺:ここで逆らっても意味がないだろう。当然、皆で広場に行く。
丹羽 :なら、郁ちゃん達は急いで仕度をして広場へと向かった。広場の中央には何枚もシートが
    敷かれ、大きな机に寿司や菓子、飲み物が幾つも置いてあった。奥の方にはパイプ・テント
    が一つ設置してある。だが、屋根からシートが下ろされて中は見えねえ。村人達は広場の
    入口の方に纏まってそれを遠巻きに眺めてた。ここで『アイデア』を振りたい奴はいるか?


 丹羽は全員を見回した。西園寺が軽く腕を組んだ。
「気になる言い方だな。広場にばかり注意していると、何かを見落とすかもしれない。二手に分かれるか」
「なら、情報の取り零しを避けるために振らないのは一人だけで良いと思います」
 和希の提案に七条と啓太も同意した。
「それが良いですね。75は意外と外れますから」
「確かに……俺も前回、75の『応急手当』を外しました」
 すると、丹羽が会話に口を挟んだ。
「啓太、そんなことを言うとフラグが立つぜ」
「やめて下さい、王様」
 啓太は少し蒼ざめ、丹羽は大声で笑った。中嶋が短いため息をついた。
「今回は俺以外の全員で振れば良い。俺は今、須藤から目を離す訳にはいかない」
 その言葉に内心、丹羽は舌打ちした。やっぱり中嶋を誤魔化すのは無理か……
「それじゃあ、中嶋以外の四人はロールしてくれ」

西園寺:アイデア(75)→20 成功
七条 :アイデア(60)→80 失敗
遠藤 :アイデア(75)→36 成功
伊藤 :アイデア(75)→97 ファンブル


「が~ん……王様が変なこと言うからファンブルになったじゃないですか」
 啓太はガックリと項垂れた。
「ははっ、自分で立てたフラグをきっちり回収するとは腕が良いな、啓太」
「伊藤君は一級フラグ建築士になれますね」
 七条の言葉に啓太は大きく手を振った。
「え、遠慮します」

丹羽 :それじゃあ進めるぜ。郁ちゃんと遠藤は村人達を見て、ふと年寄りの姿が殆どねえことに
    気づいた。近くの人にその理由を尋ねると、昔は大人は火垂祭を見ることもいけねえ習わし
    だったと教えてくれるぜ。だから、今でも年寄りはそれを守って家でじっとしてることが多いら
    しい。
遠藤 :本来は家にいるのが正しいのか。ここまで大人を排除するからには穢れではなく、何か別
    の理由があるのかもしれない。
西園寺:子供が行う祭り……子供にしか出来ない何かがあるということか。
丹羽 :啓太は人込みの中で誰かに足を踏まれて周りを見るどころじゃなかった。HP(耐久力)1
    減少だ。先刻のと合わせて明日には自動回復で良いぜ。七条はそんな啓太に気を取られ、
    何も気づかなかった。
伊藤 :痛っ……!
七条 :大丈夫ですか、伊藤君。
伊藤 :あっ、はい……ちょっと足を踏まれただけです。有難うございます。


伊藤 :HP(9)→8


丹羽 :そうこうしてる内に日が暮れてきた。真っ黒く夜空にそびえる山に色々な提灯の明かりが
    浮かび上がってくる。その弱々しい光が山全体に広がる様はかなり幻想的だ。どこからとも
    なく歓声や感嘆が零れ、郁ちゃん達も暫くそれに見入った。やがて子供小屋から坂井に先
    導された子供達が広場へとやって来た。坂井は御緒鍵(おおかぎ)を両手で捧げる様に持
    ち、落ち着きのない子供達とは対照的に神妙な面持ちで先頭を歩いてる。
西園寺:今朝の坂井は少し疲れていたな。今の様子はどうだ?
丹羽 :なら、全員で『医学』か『心理学』、『幸運』から好きなのを一つ振ってくれ。あまりロールす
    る機会がなかったからボーナス・ステージだ。『心理学』は今回だけオープンにするぜ。
西園寺:では、私は『幸運』で振る。
七条 :僕は『心理学』の方が数値は高いですが、成長ロールのことを考えて『医学』にします。
中嶋 :『心理学』だ。
遠藤 :俺も『心理学』にします。
伊藤 :あっ、俺も。


西園寺:幸運(85)→10 成功
七条 :医学(65)→12 成功
中嶋 :心理学(85)→71 成功
遠藤 :心理学(80)→11 成功
伊藤 :心理学(85)→15 成功


「随分、出目が偏りましたね。まあ、成功だから良いですが」
 七条がそう言うと、丹羽が小さく胸を撫で下ろした。
「スペシャルを適用してたら処理が大変だったぜ」
「スペシャル?」
 コクンと啓太は首を傾げた。すぐさま丹羽が説明する。
「技能値の五分の一以下の値のことだ。俺達は基本的に『拳銃』以外にスペシャルは適用しねえ。一々計算するも面倒だし、何よりKP(キーパー)の負担が増すからだ」
 成程、と啓太は頷いた。

丹羽 :ボーナスだし、結果は纏めて出すぜ。郁ちゃん達は遠目からも坂井が酷く疲れ、随分とや
    つれてる様に見えた。そのまま、坂井は奥のテントの中へ入って行った。子供達は中央に
    敷かれたシートの上に腰を下ろし、それぞれの親に向かって元気に手を振ってる。親達は
    そんな我が子の姿を遠くから携帯やデジカメで盛んに撮ってるぜ。そこには秘祭や奇祭と
    いった雰囲気は欠片もねえ。まさに学芸会だ。子供達の中には白い着物を着た秀人の姿も
    あった。それに気づいた須藤が片手を上げると、秀人は嬉しそうに笑った。
七条 :KP(キーパー)、僕もスマホで秀人君の写真や動画を撮っても良いですか? 後日、坂井
    さんに見せてあげたいんですが。
丹羽 :良いぜ。七条がスマホで撮ってると、年長の子供が一人立ち上って拙い言葉遣いで祝詞
    を読み始めた。その間、他の子供達はひそひそと友達同士で話したり、小さく笑ったりして
    る。ここで郁ちゃんは『歴史』を振ってくれ。
西園寺:わかった。


西園寺:歴史(55)→59 失敗
須藤 :歴史(70)→6 成功


伊藤 :惜しい、西園寺さん。
西園寺:また須藤に救われたか。
丹羽 :なら、郁ちゃんは専門じゃねえから祝詞の意味が良くわからなかった。須藤は一応、それ
    で飯を食ってるから五人に簡単な説明をした。
須藤 :これは平安中期の法典である延喜式に基づいた祝詞ですね。祭りを執り行う相賀村の紹
    介と奉納品の報告、神を讃える文句を奏上しています。特に珍しくはありませんね。
西園寺:祝詞には祭りの由来と目的を述べる部分があるはずだ。それは何と言っている?
須藤 :いえ、この祝詞にはそれが欠落しています。まあ、所詮は素人が祭司をやる祭りなので、
    代を重ねる内に忘れられたんでしょう。
丹羽 :須藤は投げやりにそう答え、不満そうにポケットに手を突っ込んだ。やがて祝詞の読み上
    げが終わり、子供達は自由に食事を始めた。思い思いに好きな寿司や菓子を摘んで楽しそ
    うにはしゃいでる。それを見てる大人達もチラホラと酒を取り出し、適当に飲み始めた。徐々
    に広場は祭りというより、宴会の様になってきた。郁ちゃんはまた『歴史』を振ってくれ。
伊藤 :三度目だし、今度こそ成功すると良いですね。
西園寺:ああ、私も啓太の応援があると心強い。
伊藤 :はい、西園寺さん。
    (どうか成功します様に……)


西園寺:歴史(55)→44 成功
須藤 :歴史(70)→32 成功


伊藤 :やった。良かったですね、西園寺さん。
西園寺:有難う。
丹羽 :何か釈然としねえが、まあ良いか。郁ちゃんはこれは里神楽の変形したものだと思った。
伊藤 :里神楽って何ですか?
西園寺:宮中以外の各地の神社や民間で奏される神楽のことだ。そのためにあつらえた祭場に神
    を呼び、五穀豊穣などを祈願するために神を喜ばせる儀式だ。
伊藤 :有難うございます。
丹羽 :ここでまた須藤が説明を加えた。
須藤 :これは里神楽の変形ですね。子供を神の代理人にして、村人がそれを歓迎するという形を
    取っている様です。
西園寺:……確かにそう見えるな。
    (祝詞に由来と目的がないことから、やはり火垂祭はシアエガを封印するための儀式か。そ
    れを子供だけで行う、全く意味を知らされずに……残酷だな)
遠藤 :……
    (これから危険へと赴く子供達を慰めるための宴会、か)
丹羽 :広場が宴会ムードになってきた頃、ふと中嶋は須藤がいないことに気づいた。『目星』を
    ロールしてくれ。
    (中嶋は須藤に注意してたから自動成功でも良いが、経験者にはこのくらいさせねえとな)
中嶋 :やはり動いたか。


中嶋 :目星(79)→64 成功


丹羽 :中嶋が周囲を見回すと、広場の片隅で須藤が秀人と何か話し込んでた。
中嶋 :二人の様子を見に行く。
丹羽 :中嶋が着く前に二人の話は終わって離れるぜ。その後、秀人は坂井に呼ばれて広場の奥
    のテントに入って行った。須藤は中嶋に気づいて近づいて来た。
中嶋 :俺は須藤に尋ねる。ここで何をしていた?
須藤 :私はこの広場の騒ぎは単なる余興で、火垂祭の本当に重要な祭儀は奉納の儀式に秘め
    られていると思っています。だから、秀人君に一部始終をしっかり覚えて後で教えてくれと念
    を押していました。
丹羽 :そう言って須藤はニヤッと笑った。



2015.3.13
これから先は目的をしっかり持たないと迷走するので、
軽く済ますはずだった和希の話が意外と長くなりました。
でも、漸く皆が纏まることが出来ました。

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Café Grace
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