「大丈夫か、啓太?」
 少し蒼ざめている啓太に和希は小さく声を掛けた。
 以前、七条が西園寺のシナリオはPL(プレイヤー)のSAN値が心配になると言っていたので、今回、和希は啓太の様子にずっと注意を払っていた。序盤からこの描写では、この先、どんな展開になるかわかったものではない。確かにクトゥルフ(CoC)はそれを楽しむものだが、人にはそれぞれ許容出来る範囲があった。不必要に怖がらせる必要はない。
 啓太は微かに頷いた。
「あ……うん、いきなりで驚いたけど」
(映像でなくて良かった……)
 取り敢えず、落ち着こうと啓太はガレット・クッキーを一つ摘んだ。豊かなバターの風味とほんのり塩のきいた味に自然と頬が綻ぶ。それ見た中嶋が揶揄する様に口の端を上げた。
「ふっ、菓子で気が紛れるならまだ大丈夫だろう」
「べ、別に俺はそんなつもりじゃ……」
 図星を指され、思わず、啓太は口籠もった。和希が自分の菓子皿を啓太の前に置いた。
「俺のも食べて良いよ、啓太」
(それなら良いが、西園寺さんがあまり啓太を追い詰める様なら……俺は途中でもこのシナリオをやめさせる)
 密かに不穏なことを考える和希に気づいてないのか、西園寺は再び話し始めた。

西園寺:右腕を変質させた沙耶は人間ではなかった。しかし、驚くのはまだ早かった。もう一人の
    沙耶も到底、人とは思えなかったからだ。醜く潰れたその身体は未だ脈動し、あらぬ方向に
    臓物を触手の様に伸ばそうとしていた。屋敷にいる中嶋、啓太、遠藤の三人は1D100を振
    れ。最も値の低かった者は蠢く沙耶の肉片の中で潰れずに残っていた眼球と目が合う。
伊藤 :か、考えたくない……
    (俺になりません様に……!)


中嶋 :1D100→9
伊藤 :1D100→7
遠藤 :1D100→97


 出目を見た瞬間、啓太は小さく呻いた。すかさず和希が言った。
「KP(キーパー)、ここは値の高かった者に変更しても問題はないはずです。だから、今回は俺にして下さい」
「遠藤、私は最も値の低かった者と言ったはずだ。変更はしない」
「くっ……」
 和希はきつく拳を握り締めた。
「大丈夫だよ、和希……そ、それじゃあ、俺は無表情にその目を見返します」
(しっかりしないと……そうだ。深く考えるのはやめよう。そうしよう……)
 心配を掛けまいと啓太は無理やり表情を取り繕った。それを視界の隅で捉えた中嶋が内ポケットから無言で煙草を取り出した。

西園寺:潰れた肉塊となった沙耶を啓太が無表情に眺めていると、不明瞭な声が溢れてきた。
後小路:幸、哉……
伊藤 :……
西園寺:それを聞いた外の沙耶が不快そうに眉をひそめた。
後小路:まだ息があるの。出来損ないのくせに……さっさと死んじゃえ。
西園寺:沙耶は再び巨大な右腕を振り上げると、足元に蠢く沙耶だった肉塊を執拗に殴りつけた。
    何度も、何度も……何度も。それでも潰れた肉塊にはまだ息があった。砕けた人体を変質さ
    せて声帯にも似た感覚器官を即興で形作り、人ならざる音域でひたすら声を震わせる。
後小路:幸哉……幸、哉……ゆ、き……や……
伊藤 :……っ……
    (沙耶さん、どうしてこんな……も、もうやめて……)
丹羽 :……
    (郁ちゃん、やり過ぎるなよ。啓太のリアルSAN値が飛んだら、何が起こっても知らねえぞ)
後小路:この、しつこいのっ!!
西園寺:苛々と沙耶は叫ぶと、地を震わす重い一撃を振り下ろした。沙耶が叩き潰していた肉塊
    は幾度かぴくぴくと痙攣した後、臓物を這わせる様に屋敷の中へ伸ばして漸く沈黙した。こ
    の凄惨な光景を見てしまった五人はSAN(正気度)チェックだ。沙耶の眼球と目が合った啓
    太は1D3/1D10、他の四人は1/1D6だ。


丹羽 :SAN(50)→88 失敗 1D6→1
    :SAN(50)→49
中嶋 :SAN(50)→56 失敗 1D6→4
    :SAN(50)→46
七条 :SAN(45)→88 失敗 1D6→2
    :SAN(45)→43
遠藤 :SAN(25)→65 失敗 1D6→4
    :SAN(25)→21
伊藤 :SAN(62)→36 成功 1D3→3
    :SAN(62)→59


「取り敢えず、皆、無事で良かったですね」
 場の雰囲気を変えようと七条が明るく言った。それに乗って丹羽も軽い調子で頷いた。
「ああ、序盤から発狂してたら郁ちゃんのシナリオでは生き残れねえからな」
「……西園寺は容赦ないからな」
 中嶋は不機嫌そうに煙草に火を点けた。
 西園寺の描写やキーパリングは嫌いではないが、啓太を悪戯に追い詰めるのは――たとえ、それがダイスの女神の意思としても――不愉快だった。楽しめる範囲を逸脱したら、ただの暴力に過ぎない。
(勝手に手を出すな、女神……こいつは俺のものだ)
 啓太が疲れた声でポツリと呟いた。
「やっぱり沙耶さんは神話生物なのかな。後小路さんの奥さんなのに……」
「人外なのは確かだが、このシナリオにおける沙耶の役回りはまだ不明だ」
 淡々と中嶋が答えた。啓太は不思議そうに首を傾げた。
「どういう意味ですか?」
「沙耶はもう一人の沙耶に対しては明らかな敵意を見せたが、俺達にまで危害は加えていない。沙耶を倒すのがクリア条件なら、安易に自分の正体を曝す真似はしないだろう。西園寺がそんな単純なシナリオを回すとは思えない」
「でも、自分そっくりな人をあんなふうに殺すところを見たら……俺、味方とは思えないです」
 先刻の描写を思い出して啓太は微かに身を震わせた。和希が慰める様に優しく啓太の頭を撫でた。
「神話生物が総て敵とは限らないよ、啓太」
「そうなのか?」
「ああ、人に味方したり、助けてくれるものもいる。今後、沙耶がどうなるかは恐らく俺達の接し方次第だと思う」
「そっか。沙耶さんには人格があるから、そういう点は人と同じなんだ。なら、あの犬も……?」
「いや、あれは完全に敵だよ」
 和希は僅かに顔を顰めた。啓太は頭の中で西園寺の描写した犬の姿を思い浮かべた。
「まあ、確かに……不気味で気持ち悪いよな」
「あれはティンダロスの猟犬と言って厄介な存在なんだ。時空を超えて執拗に啓太を狙ってくる。猟犬は鋭角から出現するから逃げるには角のない場所に引き籠もるしかないけれど、そうしたら、今度は過去や未来の啓太を襲う。だから、その前に何とかしないといけない」
「そんな……」
 ガックリと啓太は肩を落とした。すると、七条が楽しそうに言った。
「まだ何か出て来るかもしれないですよ、伊藤君」
「えっ!?」
「……臣」
 西園寺が軽く窘めた。
「先読みは程々にしろ。続けるぞ」
「すみません、郁」
 ふふっ、と七条は笑った。

西園寺:呆然とするお前達の前で沙耶の右腕が収縮し始めた。冒涜的なえんじ色の肉塊は数秒
    で元の人の腕へと戻ってゆく。誰もが一瞬、今の出来事は夢ではないかと思った。だが、目
    の前に無残に散らばる肉片がそれをはっきりと否定した。更に中嶋、啓太、遠藤の三人は
    屋敷に満ちる悪臭と同質のものが潰された沙耶から漂ってくることに気がついた。
中嶋 :ほう?
    (沙耶は一人ではないかもしれないな)
西園寺:沙耶は啓太達を見て尋ねた。
後小路:貴方達は誰? どうして私の家にいるの?
遠藤 :その言葉にハッと気を取り直した俺は啓太を庇う様に前に出ます。
中嶋 :俺は何も答えず、黙ってその場に立っている。
伊藤 :俺は……短く息を吐いて落ち着きを取り戻すと、静かな声で言います。後小路氏に呼ばれ
    て来ました。
    (今はRP(ロール・プレイ)に集中しないと……俺は平気で人を実験材料にする神父……だ
    から、沙耶さんを怖がったりはしない)
後小路:そう、幸哉に会ったの……彼はどこ?
伊藤 :先ほど出て行かれました。
後小路:幸哉、まだ沙耶を作ってるのかな。だとしたら、私が沙耶として完成したことにきっと気づ
    いてないのね。
丹羽 :KP(キーパー)、俺は沙耶が啓太達と話してる隙に逃げようとするぜ。事故ったかもしれ
    ねえ責任感でここまで来たが、化け物相手じゃ話が違うって感じだ。
七条 :僕もそれに気づいて逃げることにします。
西園寺:丹羽と臣が逃げようとした気配に沙耶は素早く振り返った。血塗れの右腕が再び肉塊へ
    と変化し、細く伸びてにゅるっと二人の腕に巻きつく。
丹羽 :うわっ……!
七条 :なっ……!
後小路:逃げちゃ駄目。貴方達にはまだ手伝って欲しいことがあるの。逃げようとしたら力が入っ
    ちゃうから気をつけてね。取り敢えず、中に入ろう。一緒に来て。あっ、そっちの貴方達も。
西園寺:そう言って沙耶は闇色に染まった瞳を細めて笑った。抵抗するか?
丹羽 :しねえよ。そんなことをしたら一瞬でぺしゃんこだ。
七条 :素直に沙耶さんに従います。
中嶋 :俺は面倒なことに巻き込まれたなと思ってため息をつく。
遠藤 :俺は沙耶を啓太に近づけないよう警戒しつつ、暫く様子を見ることにします。
伊藤 :取り敢えず、微笑みます。
西園寺:皆が大人しく従う素振りを見せたので沙耶は右の廊下の一番手前の部屋へ五人を案内
    した。先刻、中嶋と遠藤がいた部屋だ。そこは客間らしく重厚な木のテーブルを挟んで革張
    りのソファと二脚の肘掛け椅子が置いてある。座って、と沙耶は適当にお前達を促した。な
    お、全員が屋敷に入ったので臭いについての情報は共有して良い。
丹羽 :了解。俺は黙ってソファに座るぜ。
七条 :僕はそれを見て丹羽会長の隣に腰を下ろします。
中嶋 :肘掛け椅子に座る。
遠藤 :俺は沙耶を警戒して啓太の傍に立っています。
伊藤 :それじゃあ、俺は残った肘掛け椅子に座ります。
西園寺:丹羽と臣が座ると、沙耶は繋いでいた肉塊を再び人の形へと戻した。
後小路:大人しくしてくれて有難う。私には知り合いがいないから貴方達にはもう少し協力して欲し
    いの。
丹羽 :俺は肉塊が絡まってた場所を気持ち悪そうに擦りながら、尋ねる。手伝って欲しいことって
    何だ?
後小路:……幸哉を探して欲しいの。
七条 :幸哉さんとは誰ですか?
後小路:幸哉は私の……大事な人よ。だから、幸哉を探して、捕まえて。それだけで良いの。報酬
    なら出すわ。今はお金がないけど、この屋敷を売ってでも絶対に払うから。お願い。
七条 :ですが、僕達は幸哉さんを知りません。何の手掛かりもなしに人を探すのは無理です。
後小路:それなら大丈夫。幸哉のことはこの人達が知ってるから。
西園寺:沙耶は今度は啓太達に視線を移した。少し表情が厳しくなる。
後小路:この人達は最後に幸哉に会ってる。絶対、何か聞いてるはずよ。
中嶋 :俺は何も知らない。
伊藤 :後小路氏に会ったのは私だけです。この二人は氏の顔すら見ていません。
後小路:ふ~ん……幸哉は貴方に何を話したの?
伊藤 :……特に何も。ただ、沙耶さんが待っているとだけ。
西園寺:それを聞いた沙耶は不快そうに顔を顰めた。
伊藤 :(あっ、ここはもう少し責めた方が良い気がする)
    不思議なことを言うと思いました。私達は沙耶さんに案内されてここへ来たというのに。あ
    あ、私が言っているのは先ほど貴方が殺した方の沙耶さんです。
丹羽 :殺したって……
    (先刻までは怯えてたのに……さすが元演劇部。切り替えが早いな)
西園寺:(今回の啓太は労わる振りをして傷口を抉る感じだな。ならば、それに乗ってみるか)
    沙耶は確固たる意思を持って真っ直ぐ啓太を見つめた。自分に言い聞かせる様に、無理に
    声を強くする。
後小路:あれはただの出来損ない……沙耶は私よ。
伊藤 :そうですね、と俺は微笑みます。後小路氏もそう言っていました。あんなもの、沙耶ではな
    い、と。
後小路:……っ……!
西園寺:その瞬間、目の前のテーブルが縦に砕けた。
丹羽 :うわっ!!
後小路:私は沙耶よ! 幸哉、どうしてわかってくれないのよっ!? 私は沙耶! それ以外の何
    者でもないのにっ……!
西園寺:最初の一撃で破壊したテーブルを沙耶は何度も、何度も殴りつけた。木の破片で傷つい
    たのか、沙耶の拳から赤い血が滴った。
七条 :取り敢えず、沙耶さんを落ち着かせます。『精神分析』は出来ますか?
西園寺:ああ、振ってくれ。


七条 :精神分析(81)→99 ファンブル


七条 :これは酷い。
西園寺:臣は沙耶を落ち着かせるために近づこうとしたが、先ほどの非情な光景が頭に浮かんで
    足が竦んでしまった。そこに木の破片が飛んできて腕を掠めた。HP(耐久力)1減少だ。
七条 :くっ……


七条 :HP(14)→13


丹羽 :俺は七条に声を掛ける。大丈夫か、お客さん? お嬢さん、あんたも少し落ち着いてくれ。
中嶋 :その騒ぎに乗じて俺は椅子から立ち上がって呟く。帰る。
西園寺:それに気づいた沙耶が鋭い口調で中嶋を呼び止めた。
後小路:駄目よ! 貴方も手伝って!
中嶋 :知っていることは話した。俺にはやることがある。時間を無駄にする気はない。
丹羽 :おい、あんた……今は大人しく言うことを聞いた方が良いと思うぜ。
中嶋 :……くだらん。俺はドアへ向かって歩き出す。
西園寺:すると、沙耶はすうっと目を細めた。
後小路:手伝ってって言ったでしょう。これは貴方のお友達のためでもあるのよ。
中嶋 :どういう意味だ……?
後小路:えっと……神父様、かな。左手の甲を見せて。
伊藤 :俺は言われた通り、軽く左手を上げて甲に浮かぶ紋様を皆に見せます。
遠藤 :神父様、それは……?
七条 :入れ墨ですか?
伊藤 :わかりません。突然、ここに浮かび上がってきたのです。


後小路:クトゥルフ神話(??)→15 成功


西園寺:沙耶はその模様をじっと見て言った。
後小路:それは幸哉が付けた、時間の角に棲む不浄な獣を引き寄せるための印よ。あれは猟犬
    の様な執拗さで獲物を狩るまで絶対に諦めないの。人間の力で倒そうなんて考えるだけ無
    駄。死以外で逃れる方法は二つしかないわ。幸哉に会って解除して貰うか、あるいは……
    その手を切り落とすか。
遠藤 :なっ……!
伊藤 :……
    (そ、そんな……)
後小路:でも、私なら猟犬を撃退出来る。幸哉を見つけてくれたら、倒してあげても良いわ。
中嶋 :俺はどちらを選べば研究により支障が出ないか少し考え込む。見捨てて帰るか、ここに残
    るか。
遠藤 :その様子に俺は怒りを抑えながら、中嶋さんに言います。何を悩んでいるんですか、中嶋
    さん? 貴方は神父様に手を切り落とせと言うんですか!?
伊藤 :遠藤さん、中嶋さんにも都合があるのです。無理強いをしてはいけません。
遠藤 :しかし、神父様……!
伊藤 :私は左手など全く惜しくはありません。片手でも祈りを捧げることは出来ます。ですが、日
    常生活が少々不便になるので貴方の手を煩わすことが多くなると思います。それだけが心
    苦しくて……
    (これで中嶋さんに対して遠回しな脅迫になるかな)
遠藤 :何を言われるのです、神父様、私で良ければいかようにもお使い下さい。神父様が路を示
    して下さったあの日を、この遠藤、一度たりとも忘れたことはありません。
伊藤 :有難う、遠藤さん、出来るだけ貴方の仕事に支障が出ないよう私も注意しますね。
遠藤 :KP(キーパー)、ここで啓太に『信用』を振らせて下さい。皆に啓太は善良な神父という印
    象を強く刻み込みます。
西園寺:自動成功だ。啓太の言葉に皆は深い感銘を受けた。
丹羽 :さすが神父様だな。自分を見捨てようとしてる奴に文句も言わねえとは心が広いぜ。
七条 :ええ、本当に。
遠藤 :神父様はそういうお方です。
中嶋 :……わかった。俺も手伝う。ため息を一つ零して俺は再び椅子に座る。
西園寺:全員が座ったのを見て沙耶は嬉しそうに微笑んだ……が、それ以上は何もしなかった。
    誰かが口を開くのを待っている。
丹羽 :それじゃあ、俺はこう言うぜ。取り敢えず、自己紹介しねえか? 俺は丹羽哲也。タクシー
    の運転手をしてる。
七条 :僕は七条 臣と申します。医師です。
伊藤 :私は伊藤啓太です。ご覧の通り、神父です。
遠藤 :遠藤和希です。神父様の教会で下働きや庭師の様なことをしています。
中嶋 :……中嶋英明。薬剤の研究をしている。
丹羽 :あ~、それで……これからどうする?
七条 :そう、ですね。幸哉さんを探そうにも顔を知っているのは神父様だけなので、まずは手分け
    して屋敷内に写真や行先の手掛かりになりそうなものがないか探してみませんか?
丹羽 :そうだな、と言って俺は立ち上がる。
伊藤 :写真があったら私に見せて下さい。後小路氏を教えます。
丹羽 :わかった。
西園寺:では、お前達は廊下に出て屋敷を探索することにした。どう分かれるつもりだ?
丹羽 :自己紹介もしたし、俺は誰とでも良いぜ。
遠藤 :俺はこの時間を利用して先に犯罪者組で情報共有をしたいです。
七条 :なら、丹羽会長と僕で組みますね。沙耶さんはどうしましょうか?
西園寺:沙耶は指示がなければ、適当に誰かの後をついて来る。
丹羽 :沙耶は俺達で引き取る。幸哉のことを訊きたいからとでも言えば良いだろう。
西園寺:では、お前達は二手に分かれ、まずは一階と二階を捜索することにした。丹羽、臣、沙耶
    の三人と啓太達だ。探索階は1D6で決める。奇数ならば丹羽達が一階、啓太達は二階
    だ。偶数ならばその逆だ。


 ダイスの転がる音が辺りに響いた。西園寺はそれをじっと注視した。
(1か……今回の女神は随分と残酷な方らしい)
 あの部屋でどういう描写をしようかと考え、西園寺は小さく口の端を上げた。
「では、二階を探索する啓太達の場面から始める」



2016.2.5
腹黒とは違う白い残酷さ……
啓太の中で徐々に神父像が出来上がってきました。
啓太がこんな性格でなくて良かったです。

r  n

Café Grace
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