伊藤  :な、中嶋さん、大変です! 今、俊介から中嶋さん充ての手紙を受け取ったんですけど、
    見て下さい、この差出人! Graceです!
中嶋  :……
伊藤  :もしかして、知らないんですか、中嶋さん? 俺、前にトノサマから聞いたことがあります。
    あっ、海野先生経由ですけど。Graceはこの世界の創造主たる方のペットで、管理者として
    総てを見通す眼を持ってるそうです。凄い……本当にいたんだ。
中嶋  :その話なら俺も聞いたことがある。だが、謂わば夢の住人である俺達にはそれを確かめ
    ることは永遠に出来ないだろう。仮に管理者Graceが存在したとしても、この手紙の差出人
    と同一人物かどうかを知る術もない。誰かの単なる悪戯という可能性もある。だから、何で
    も簡単に信じるな。以前にも、そう言ったはずだ。
伊藤  :それは覚えてますが、態々そんな悪戯をする人がいるとは思えないし……もしかしたら、
    本当にGraceはいるかもしれないじゃないですか。とにかく、早く読んでみて下さい、中嶋さ
    ん! 何か大変なことが書いてあるかもしれません!
中嶋  :なら、お前が読んで俺に聞かせろ。
伊藤  :あっ、はい……じゃあ、読みます。えっと……次の百の質問に出来るだけ正直に答えて下
    さい。特に深い意味はありませんが、だた訊いてみたいから。 By Grace
中嶋  :……
伊藤  :あ~、結構、お茶目な性格ですね。やっぱり猫だからかな……ははっ。
中嶋  :くだらん。
伊藤  :だ、駄目ですよ、中嶋さん、そんなこと言ったら! Graceがくれた手紙なんだから、きっと
    何か深い意味があるはずです! 答えた方が良いです、絶対! 俺、コーヒー淹れてきま
    すから!
中嶋  :はあ……仕方ない。なら、休憩を兼ねて答えてやる。
伊藤  :有難うございます。あっ、この手紙は濡れると困るので中嶋さんが持ってて下さい。
中嶋  :ああ。
伊藤  :それじゃ、少し待ってて下さい、中嶋さん。

1 貴方の名前を教えて下さい。
伊藤  :はい、中嶋さん、今日はコロンビアをベースにブラジルとマンデリンをブレンドしてみまし
    た。
中嶋  :……香りとコクは悪くないが、いつもより少し甘いな。
伊藤  :これから百も質問に答えるので、疲労感を和らげた方が良いと思って……駄目ですか?
    なら、淹れ直してきますけど……
中嶋  :いや、これで良い。さっさと始めるぞ。早く椅子に座れ。
伊藤  :はい……まずは名前からですね。俺は伊藤啓太です。
中嶋  :中嶋英明だ。

2 年齢は?
伊藤  :十六歳です。
中嶋  :十八。

3 性別は?
中嶋  :……
伊藤  :何か中嶋さんの機嫌が悪くなってる気がする。こんな質問が延々と続くのかな。あっ、二
    人とも男です。

4 貴方の性格は?
伊藤  :良かった。少しまともな質問になった。でも、性格か……自分で言うのって何か恥ずかしい
    ですね、中嶋さん。
中嶋  :いや……俺は用心深い方だが、それ以外はお前と違って普通だからな。
伊藤  :えっ!? 中嶋さんが普通なんですか?
中嶋  :何か言いたそうだな。
伊藤  :い、いえ、別に……絶対、普通って言葉の意味が違ってるよ。

5 相手の性格は?
伊藤  :それにしても……今、さり気なく酷いこと言われた気がする……中嶋さん、なら、中嶋さん
    から見て俺はどういう性格なんですか?
中嶋  :質が悪い。
伊藤  :そんな……中嶋さん、俺のこと、ずっとそんなふうに思ってたんですか?
中嶋  :ああ。
伊藤  :だから、いつもあんなに意地悪なんですね。中嶋さんの性格や根性が、どうしようもなく捻
    くれて歪んでるのは俺に合わせてたからなんだ。知らなかった……ごめんなさい、中嶋さん
    ……俺、中嶋さんが優しいから今まで気づきませんでした……クスン。
中嶋  :……お前は褒めるか貶すかどちらかにしろ。
伊藤  :……?
中嶋  :全く……これだから、お前は……

6 二人の出会いはいつ? どこで?
伊藤  :転校初日に和希と一緒に生徒会室へ行ったときでしたね。あのときは、まさか中嶋さんと
    付き合ことになるなんて思いませんでした。
中嶋  :お前は、あのときからもう男を惹き寄せていたな。
伊藤  :和希は俺を案内してくれただけです。俺、まだ生徒会室の場所がわからなかったから。
中嶋  :遠藤のことではない。成瀬が何をしたか俺が知らないと思うか?
伊藤  :あ、あれは別に俺のせいじゃ……
中嶋  :いや、お前が悪い。そんな瞳で誘われたら、誰でも口唇を奪いたくなる。こうして……
伊藤  :あ……中嶋さ、んっ……っ……

7 相手の第一印象は?
中嶋  :ふっ、もう息が上がったのか?
伊藤  :……っ……だって、それは中嶋さんが……初めて逢ったときは、少し冷たそうだけど、切
    れ者って言葉の良く似合う人に見えたのに……すっかり騙されました。
中嶋  :同感だな。あのときは頼りなさそうに思えたお前が、まさかこれほどの淫乱とは……やは
    り俺の目に狂いはなかったな。
伊藤  :中嶋さん……俺、淫乱じゃありません。
中嶋  :キスだけで感じて、こんなに物欲しそうな瞳をしているのにか?
伊藤  :そ、それは中嶋さんだからです。中嶋さんが俺に触れるから……キスするから……だから
    ……
中嶋  :良い子だ。

8 相手のどんなところが好き?
中嶋  :お前はそのままでいろ、啓太。
伊藤  :はい……俺、中嶋さんが好きです。中嶋さんの全部が好き……
中嶋  :ああ、知っている。
伊藤  :中嶋さん……中嶋さんっ……あっ……ふっ……

9 相手のどんなところが嫌い?
伊藤  :んっ……あっ、嫌っ……やめないで、中嶋さん……!
中嶋  :良いのか? これ以上、続けると質問に答えられなくなるぞ?
伊藤  :……中嶋さんの意地悪。そういうところは、少し嫌いです。
中嶋  :だが、お前は焦らされるのが好きだろう? そうして理性も羞恥も打ち捨てて、ただ俺だけ
    を感じたいと思っている。責任は総て俺に、快楽はお前に……違うか?
伊藤  :そんなこと、ないです。
中嶋  :では、無自覚か。やはりお前は質が悪いな。
伊藤  :……っ……中嶋さんの馬鹿!

10 貴方と相手の相性は良いと思う?
伊藤  :最悪です!
中嶋  :そうか。
伊藤  :いつも俺を苛めて、意地悪ばっかりして……ちっとも優しくしてくれない……
中嶋  :それで、俺が嫌いになったか。なら、お前の好きにすると良い。
伊藤  :そんなこと、ある訳ないじゃないですか! 俺が中嶋さんを嫌いになるなんて! どうして
    そんなこと言うんですか! 今だって、こんなに好きなのに!
中嶋  :なら、泣くな。
伊藤  :俺、泣いてません! 泣いてな、んか……中嶋さんの馬鹿~
中嶋  :啓太……っ……
伊藤  :あっ、中嶋、さ……んっ……っ……あ……

11 相手のことを何て呼んでる?
伊藤  :ふ、あっ……んっ……中嶋さん……中嶋さん……好き……
中嶋  :そうか。
伊藤  :……ごめんなさい、中嶋さん……俺、つい感情的になってしまって……でも、俺、中嶋さん
    が好きだから。嫌いになんてなれないから……
中嶋  :ああ、わかっている。
伊藤  :……中嶋さん、暫くこうしてて良いですか? 抱きついてても……
中嶋  :ああ。

12 相手に何て呼ばれたい?
伊藤  :ふふっ、俺は普通に啓太で良いけど……中嶋さんは何かありますか?
中嶋  :呼び方をどう変えようと俺は俺だ。お前の好きしろ。
伊藤  :はい、中嶋さん……なら、いつか下の名前で……でも、やっぱり恥ずかしい……
中嶋  :何を一人で赤くなっている?
伊藤  :あっ、いえ、別に何でもないです。

13 相手を動物にたとえたら?
伊藤  :中嶋さんは間違いなく猫系ですね。黒猫とかのイメージです。
中嶋  :お前は子犬系だな。
伊藤  :あっ、よくそう言われます。でも、どうして子犬なんだろう? 俺、そんなに子供っぽいか
    な。
中嶋  :相手の庇護欲をかき立てるからだろう。
伊藤  :なら、中嶋さんもそうなんですか? いつも俺を護ってくれるから。
中嶋  :さあな。
伊藤  :……もしかして、照れてる?

14 相手にプレゼントを渡すとしたら何をあげる?
伊藤  :そんなの……俺には中嶋さんが好きって気持ちしかありません。
中嶋  :それで良い。自分で手に入れられるものなど高が知れている。だが、人の心は望んでも
    必ずしも得られるとは限らない。だからこそ、価値がある。
伊藤  :はい、中嶋さん。

15 プレゼントを貰うとしたら何が欲しい?
遠藤  :失礼します。
伊藤  :あっ、和希。
遠藤  :……!? 啓太、お前……中嶋さん、啓太を泣かせましたね! 一体、何をしたんです!
伊藤  :和希、これは中嶋さんのせいじゃないよ。俺の気持ちが勝手に昂ってしまっただけだか
    ら。
遠藤  :そうか。啓太は感情表現が豊かだから、中嶋さんの冷淡な言動に繊細な心が傷ついたん
    だな。わかった。中嶋さんは俺が直ぐに海よりも深く反省させるから、今はこの苺を食べて
    元気を出して。はい、フォーク。練乳も掛けてあるよ。
伊藤  :わあっ、良いの、和希!?
遠藤  :ああ、これは啓太のために持って来たんだから。
伊藤  :俺の苺……俺の……有難う、和希!
中嶋  :ふっ、お前はまだ花より団子だな。
遠藤  :……中嶋さん、俺は警告したはずです。啓太を泣かせたら、只では済まない、と。
中嶋  :泣かせた覚えはない。
遠藤  :貴方になくとも、啓太が泣いたのは事実です! この罪を見過ごすことは絶対に出来ませ
    ん! 貴方には、これから――……
伊藤  :和希が中嶋さんと喧嘩してる。俺がこの苺、全部、貰っちゃったから? やっぱり和希も苺
    が欲しかったんだ。でも、俺が欲張ったから……そっか……ごめん、和希……ごめん……っ
    ……
遠藤  :あっ、いや、俺は別にそんなつもりは……ああ、泣かないで、啓太……泣かないで……
中嶋  :これでお前も同罪だな。
遠藤  :くっ……!
中嶋  :啓太、俺達は喧嘩をしていた訳ではない。ただ、意見が合わなかっただけだ。
伊藤  :クスン……何の?
中嶋  :良い苺とは甘さと香りも必要だが、大きさも重要だ。それら総てを兼ね備えているとなる
    と、俺はやはりアイベリーだと思う。だが、遠藤は甘王を推すそうだ。
伊藤  :何だ。そんなことだったんですか。確かにアイベリーや甘王は甘さや香り、大きさも申し分
    なくて贈答用の高級品種として有名ですが、苺の種類はそれだけではないですよ。果肉が
    赤くて酸味のある女峰は洋菓子に合いますし、とちおとめは甘みも強くて日持ちするので手
    軽に食べられます。章姫(あきひめ)も酸味が少なくて柔らかいですよ。とよのかとアイベリ
    ーを掛け合わせたさちのかは味のバランスが良く、ビタミンCが多くて人気ですよね。あっ、
    知ってますか? 徳島県産のももいちごなんて、その希少性から『幻の苺』って言われてる
    んです。苺好きの俺としては一度は食べてみたいけど、なかなか手に入らなくて……同じ品
    種のあかねっ娘ならあるんですけど。そもそも、国内産の苺はハウス栽培で収穫まで丁寧
    にされてますから、外国産より香りも良く、甘くて柔らかいんです。だから、どの苺が優れて
    るかで揉めるなんて無意味ですよ。だって、どれも苺は美味しいんですから!
中嶋  :……
遠藤  :……啓太。
伊藤  :どうしたんですか、中嶋さん? 和希も……俺、何か変なこと言った?
遠藤  :いや……啓太は本当に苺が好きなんだな。
伊藤  :うん!
遠藤  :ももいちごか……知らなかったよ。今から手配すれば今年の収穫に間に合うかな……ご
    めん、啓太、少し用事が出来たから俺はサーバー棟へ戻るよ。
伊藤  :あっ、待って、和希……はい、あ~ん。
遠藤  :有難う、啓太……んっ……
伊藤  :美味しい……?
遠藤  :ああ、とても美味しいよ。
伊藤  :良かった。じゃあ、仕事、頑張ってね。
遠藤  :ああ、啓太もな。それでは、失礼します、中嶋さん。

16 相手に対して不満はある? それはどんなこと?
伊藤  :苺、苺、わ~い!
中嶋  :……啓太、お前はいつも処構わず男を誘惑するが、そんなに俺にお仕置きされたいの
    か?
伊藤  :俺、何もしてませんよ、中嶋さん。
中嶋  :なら、今、遠藤にしたことは何だ?
伊藤  :あれは、ただ和希に苺を食べさせただけで……あっ、やだ、中嶋さん! 俺の苺、返して
    下さい!
中嶋  :安心しろ。今度は俺がお前に食べさせてやる。口を開けろ、啓太。
伊藤  :あ……んっ、甘っ……あっ、中嶋さ、んっ……あ、ふっ……っ……んっ……
中嶋  :……っ……本当に甘いな。どうだ、苺の味は?
伊藤  :……んっ……とても……美味しい、です。もっと……もっと下さい、中嶋さん……
中嶋  :ああ、幾らでもやる……お前が良い子にしていたらな。
伊藤  :はい、中嶋さん……

17 貴方の癖は?
伊藤  :癖、ですか? う~ん、自分の癖ってわかり難いですよね……中嶋さん、俺の癖って何で
    すか?
中嶋  :いつのときの癖だ?
伊藤  :……?
中嶋  :仕事や勉強、食事のときの癖か? それとも、ベッドの中か?
伊藤  :……! 俺、そんなに癖ないです!
中嶋  :自分で気づいてないだけだろう。こうして、耳元に吐息を吹き掛けるだけでお前は……
伊藤  :あっ、やめっ……
中嶋  :それから、ここを舌で嬲ってやると……
伊藤  :んっ……あっ……中嶋、さんっ……!
中嶋  :面白いくらいに声が跳ねる。
伊藤  :……っ……そ、それは癖とは違います。
中嶋  :だが、お前は子供の様だと思っていたら、次の瞬間には大人の顔で俺を惑わす。それは
    無意識の癖の様なものだろう?
伊藤  :……? 何のことですか、中嶋さん?
中嶋  :こういうことだ、啓太……
伊藤  :あ、んっ……っ……んっ……

18 相手の癖は?
伊藤  :ふっ……あ……中嶋さん……
中嶋  :良い顔だ。
伊藤  :何か……いつもこうして誤魔化されてる気がする……
中嶋  :そうか?
伊藤  :それに、ほら、その眼鏡をクイッて上げる癖。格好良いなって見惚れてる内に何だか話が
    有耶無耶に……
中嶋  :お前はこの癖が好きなのか?
伊藤  :はい、中嶋さんがすると凄く格好良いから……でも、俺、眼鏡を外す仕草も好きです。だっ
    て、それは俺しか見れないから……
中嶋  :そんなことはないだろう。大浴場でも外している。
伊藤  :あっ、そうでした……何だ。折角、俺だけだと思ったのに……
中嶋  :だが、お前の前が最も多いのは確かだな。キスやベッドの中では邪魔だからな。それでは
    不満か、啓太?
伊藤  :いえ……嬉しいです、中嶋さん。

19 相手のすること(癖など)でされて嫌なことは?
伊藤  :そんなの、一杯、あり過ぎて……
中嶋  :ほう?
伊藤  :だ、だって、中嶋さんが意地悪ばかりするから……!
中嶋  :せめてそのくらいはしないと不公平だからな。
伊藤  :不公平って……俺、中嶋さんに何もしてません。
中嶋  :そうか。
伊藤  :……? たまに訳のわからないこと言うよな、中嶋さんって。

20 貴方のすること(癖など)で相手が怒ることは?
伊藤  :中嶋さんは、俺が処構わず男を誘惑するって怒りますよね。先刻の和希もそうだったし。
    俺、全く身に覚えがないですけど、そこまで中嶋さんに想われて嬉しいです。大好きです、
    中嶋さん。
中嶋  :……ああ、知っている。

21 二人はどこまでの関係?
伊藤  :えっ!? ど、どうしてこんなことまで? だって、Graceは知ってるはずですよね?
中嶋  :さあな。だが、訊かれたことには正直に答えるべきだろう。どこまでだ、啓太?
伊藤  :……っ……さ、最後まで、です……
中嶋  :ふっ。

22 二人の初デートはどこ?
伊藤  :『アブシンス・グリーン』でしたね、繁華街をちょっと入った処にある。俺、ジャズ・バーに
    行ったのも生演奏を聞いたのも初めてで、とても楽しかったです。
中嶋  :違うだろう。あそこは軽く寄っただけで、本当の目的地は――……
伊藤  :わ~っ!! 俺は認めませんからね、中嶋さん! 初デートが……あ、あ、あんな店なん
    て……!
中嶋  :ジャズより楽しんでいたのにか?
伊藤  :そんなことありません!
中嶋  :なら、そういうことにしておいてやる。
伊藤  :つ、次の質問に行きます!

23 そのときの二人の雰囲気は?
中嶋  :お前は緊張していたな。
伊藤  :だって、俺、初めての外出だったし……それに、まだ自分の気持ちに気づいてなかったか
    ら、生徒会室であんなことをした中嶋さんと二人で逢うのは少し怖くて……でも、MVP戦の
    前にお互いを知る良い機会かもって……あっ、だから、最初にあの店へ連れてったんです
    か? 俺がリラックスして二人でいる雰囲気を楽しめる様に。
中嶋  :ああ。
伊藤  :有難うございます、中嶋さん。
中嶋  :……啓太、アブシンス・グリーンの意味を知っているか?
伊藤  :いいえ、absenceは不在とか留守って意味ですよね。だから……緑の不在、ですか? 
    良く意味がわからないけど……
中嶋  :いや、これはabsinthe greenだ。アブシンス……アブサンはニガヨモギを主成分とした
    薬草系のリキュール酒だ。透き通った緑をしているので『緑の詩神』などと言われている。
伊藤  :へえ~、知りませんでした。
中嶋  :だが、最近は主にアニスの実で作られたものが多い。ニガヨモギに含まれるツヨンには幻
    覚などの向精神作用があるからな。ゴッホが自分の左耳をそぎ落としたのも、アブサンを飲
    み過ぎて精神錯乱を起こしたためと言われている。まるでお前の様な酒だな。
伊藤  :俺、幻覚なんか見せませんよ、中嶋さん。
中嶋  :……ああ、そうだな。

24 そのとき、どこまで進んだ?
伊藤  :進むも何もなかったですよね、中嶋さん。
中嶋  :ああ、お前があの店にあんなにも興味を持つとわかっていたら、最初から篠宮に外泊届
    けを出しておいたのにな。残念だったな。
伊藤  :俺は興味なんか持ってません。
中嶋  :本当か?
伊藤  :そ、それは……全くない……とは言いませんけど……
中嶋  :そうか。なら、近い内にまた行ってみるか。
伊藤  :でも、人には知らなくても良い世界があるんです~

25 良く行くデート・スポットは?
伊藤  :俺達、あまり学園島の外に行かないから特に決まった場所ってないですよね。あれ以来、
    『アブシンス・グリーン』には何回か行ったけど……強いて言えば、そこかな。
中嶋  :お前はあの店が気に入った様だからな。
伊藤  :はい、あそこは客層が落ち着いてて雰囲気が良いので中嶋さんとの時間を凄く楽しめま
    す。
中嶋  :これから始まる夜を、だろう? あそこへ行くときは必ず外泊届けを出しているからな。
伊藤  :そんなことはありません。中嶋さんが一緒にいれば、俺はどこにいても幸せなんです。学
    園島の外に行かなくても、同じ寮にいられるだけでも……好きだから。
中嶋  :……そうか。
伊藤  :はい。


2009.5.22
時間軸設定が、
『曙光』後から『扉』前になっています。
啓太を口唇で誤魔化し、宥める中嶋さん。
二人の会話はいつもこんな感じかな。

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Café Grace
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