中嶋 :意外と早かったな、丹羽……
丹羽 :中嶋……!
(まさかここで来るとはな……)
伊藤 :中嶋さん! 無事だったんですね!
(良かった! 生きてた!)
遠藤 :啓太が中嶋さんに駆け寄らないよう注意します。落ち着いて、啓太……玄朗さんの忠告を
思い出して。
丹羽 :目星(75-50)→84 失敗
西園寺:目星(85-50)→86 失敗
遠藤 :目星(85-50)→70 失敗
伊藤 :目星(65-50)→03 クリティカル
伊藤 :あっ、やった! クリティカルだ。
遠藤 :凄いな、啓太。
丹羽 :お~、さすが啓太だぜ。
中嶋 :丹羽を先頭にお前達は山道へ足を踏み入れた。すると、俺は距離を保つ様に少し後退っ
た。やはりまた暗がりに立っているので、お前達から俺の姿は良く見えない。だが、啓太は
一瞬、俺と目が合った。それはあの悪夢の中で青い瞳の怪物がこちらに向けていた眼差し
にも似てどこか薄ら寒く、酷く気味が悪かった。
伊藤 :そんな……なら、そっと和希の服を掴みます。
遠藤 :どうした、啓太?
伊藤 :……わからない、けど……っ……あの中嶋さん……何か、怖い……
遠藤 :そうか……啓太、絶対に俺から離れないで。
伊藤 :うん……わかった……
丹羽 :啓太の反応を見た俺は中嶋に尋ねる。早かったとはどういう意味だ、中嶋? 俺を待って
たのか?
中嶋 :ああ……お前なら、必ずここまで来ると思っていた。この先に風窓はいるが、俺はそこに近
づけない……光が怖い。だから、頼む……力を貸してくれ、丹羽。
七条 :KP(キーパー)、今の言葉に『心理学』を振ります。
遠藤 :俺もお願いします。
伊藤 :俺は……俺も、振ります。中嶋さんが本当に操られてるか気になるから……
(これは絶対に、絶対に成功して欲しい……!)
中嶋 :良いだろう……お前は振らないのか、丹羽?
丹羽 :ああ、別に必要ねえだろう。そんなことしなくてもわかるしな。
七条 :随分とメタな思考ですね。
西園寺:全くだ。だが、それを私自身、納得出来るのが腹が立つ。
中嶋 :ふっ、三人を20%減のクローズドで振る。
七条 :心理学(75-20)→??
遠藤 :心理学(80-20)→??
伊藤 :心理学(85-20)→??
中嶋 :七条は俺が嘘をついていると思った。遠藤は俺から強い悪意を感じ、騙そうとしていると確
信した。啓太は俺の言葉に嘘はない気がした。
伊藤 :皆、ばらばら……
(う~ん、俺、失敗したのかな。操られてるなら、嘘をつくと思うんだけど……でも、成功して
るなら、中嶋さんは操られてない……?)
七条 :これは巧く分かれましたね。今回、女神は随分と協力的です。
遠藤 :お陰で、PL(プレイヤー)とPC(プレイヤー・キャラクター)の視点が同じになってRP(ロー
ル・プレイ)がやり易くなりました。
(間違いなくミスリードだ。だが、これで俺は啓太を自然に止められる。啓太はまだ中嶋さん
が操られていると信じ切れてないからな)
丹羽 :まあ、結果がどうあれ、今更、戻る奴はいねえだろう。中嶋、風窓の処へ向かうぜ。
中嶋 :お前達は胸を過る様々な感情を押し殺し、それぞれの明かりを手に俺に続いて夜の山を
歩き始めた。不気味に静まり返った山中は鳥や虫の声一つせず、暗闇と相まって否が応に
も不安をかき立てる。誰もが自然と周囲を警戒する中、俺だけは時折、少し後ろへ瞳を流し
てはお前達との距離を気にしていた。
七条 :まるで僕達を誘い込んでいる様ですね。
(用心したほうが良いですね。この先に罠があるかもしれません)
中嶋 :そうして暫く行くと、分かれ道に出た。俺は黙って右へ曲がる。七条は『アイデア』を振れ。
時間経過により更に10%回復したので、補正値はマイナス10%だ。
七条 :これは失敗したくないですね。
七条 :アイデア(60-10)→49 成功
七条 :ふう、助かりました。
中嶋 :お前はそこは先刻の夢で見た場所に間違いなく、方向も正しいと思った。だが、分岐路に
あったはずの休憩所と川への方向を示す看板はなかった。
七条 :『目星』で看板を探します。
中嶋 :10%減で振れ。
七条 :アイデア(50-10)→92 失敗
七条 :暗くて見つけられなかった様ですね。なら、僕はさり気なくこう呟きます。夢でここを通りまし
た。この先に川があるはずです。
中嶋 :言われて耳を澄ますと、鬱蒼とした木々の奥から微かに水の流れる音が聞こえた。それは
進むにつれて次第に明瞭さを増し、やがてお前達は石の河原へと出た。目の前を右から左
へ勢い良く川が流れている。先ほどまでの雨で月が隠れているため対岸は暗くて見えない
が、その川を見た瞬間、首筋が虫にでも触れられたかの様にざわりと不快に粟立った。
丹羽 :俺は首筋を気持ち悪そうに撫でてため息をつく。はあ……やっぱり憑いてるみたいだな、
不可視の虫って奴が。
西園寺:ああ、糧に近づいたから活発になったのだろう。全く……汚らわしい。
七条 :そういえば、二人はまだ夢も幻覚も見ていませんでしたね。
伊藤 :……見ない方が良いですよ、あんなもの……
遠藤 :啓太、もう少しの辛抱だから。
伊藤 :うん……
丹羽 :中嶋、どっちに行けば良いんだ?
中嶋 :俺はそれには答えず、無言で川へ寄った。水際に立ち、声を掛けても振り返らない。
丹羽 :(川に何かあるのか……?)
傍まで行って俺も川を見る。
中嶋 :他に川に近づく者はいるか?
西園寺:私は行かない。
七条 :僕は見に行きます。もしかしたら、SAN(正気度)チェックがあるかもしれませんから。
遠藤 :任務上、俺は確認しない訳にはいかないですね。でも、その前に啓太に川には近づかな
いよう注意します。水鏡がないとは限らないので。
伊藤 :うん……俺、もう幻覚は見たくない。
中嶋 :なら、西園寺と啓太以外は『幸運』を振れ。
丹羽 :幸運(65)→08 成功
七条 :幸運(75)→93 失敗
遠藤 :幸運(35)→19 成功
中嶋 :丹羽と遠藤は夜の川に手持ちの明かりを向けたが、特に何も気づかなかった。七条はス
マートフォンのライトが川面を照らした瞬間、キラリと青が過ったのを見た。これには任意で
更に『クトゥルフ神話』を振ることが出来る。マイナス補正はなしで良い。
七条 :勿論、振ります。
丹羽 :ワンチャンあるな、これ。
七条 :クトゥルフ神話(18)→32 失敗
七条 :ああ、もっと、もっと発狂しなければっ……!
中嶋 :七条は何かを思い出し掛けたが、誰かの近づいて来る足音にそれは霧散してしまった。お
前達が慌てて川上に光を向けると、そこには虚ろな顔をした四人の男が立っていた。これよ
り戦闘に入る。今回は幾つか特殊ルールがあるので、最初にその説明をする。まずは回避
に専念すると宣言することで行動を放棄し、そのR(ラウンド)中は何度でも回避することが
出来る。宣言しなければ、回避はいつも通りR(ラウンド)中に一回のみだ。また、誰かをか
ばった場合、以降、総ての判定が自動失敗となる。
丹羽 :それはそのR(ラウンド)中だけか?
中嶋 :いや、これはR(ラウンド)を跨いで継続する。かばうを解除すれば、また通常の判定に戻
る。
西園寺:それでは簡単にかばうことは出来ないな。
(かばうのデメリットが大きい。ただの戦闘ではないな)
中嶋 :今回、敵のクリティカル効果は必中のみ、お前達は必中かダメージ二倍のどちらかを選択
することが出来る。ファンブルは状況に応じて適宜、俺が決める。行動はDEX(敏捷)順に
敵A、丹羽、遠藤、西園寺、中嶋、七条、啓太、敵B、敵C、敵Dとなる。まずは敵A……啓太
に攻撃する。
遠藤 :啓太をかばいます。
伊藤 :駄目だよ、和希。そうしたら、和希が行動出来なくなるじゃないか。俺なら大丈夫。KP(キ
ーパー)、回避に専念します。
(まだ誰も怪我してないし、俺が一回くらい行動を放棄しても平気だよな)
中嶋 :敵Aの判定をする。
敵A :こぶし(40)→??
中嶋 :(ふっ、やはり女神は俺の味方か)
男達の一人が突然、啓太に襲い掛かった。完全に不意を突かれた啓太は反応出来ない。
敵Aのクリティカルだ。
伊藤 :いきなりそんな……!
遠藤 :KP(キーパー)、やはり俺が啓太をかばいます!
中嶋 :却下だ。真っ直ぐ啓太に駆け寄った敵Aは上着のポケットから何かを取り出し、目の前に
突きつけた。啓太の持つスマートフォンの光源でも、これだけの至近距離ならはっきりとわ
かるだろう。それは、小さな手鏡だった。
伊藤 :えっ!? ああっ……!
遠藤 :啓太っ……!
中嶋 :その鏡に映るお前の真後ろに、もう一人の自分がいた。それは楽しそうにお前に言った。
こんばんは、と。それは嬉しそうにお前に囁いた。有難う、と。そして、最後にそれは残酷に
お前を嗤った。お疲れ様、と。その声が頭に響いた途端、啓太は過去の記憶がすうっと消え
てゆくのを感じた。友人や家族、自分の顔や名前すら思い出せない。逃げようにも足が動
かず、叫ぼうにも声が出なかった。お前は身体の使い方が、思考する言葉自体がもうわか
らなくなっていた。何もかもが、まるで指の隙間から零れ落ちる砂の様に失われてゆく。後
に残ったのは抜け殻になった器のみ……啓太は1D8/1D20のSAN(正気度)を喪失し、
これ以降はKP(キーパー)に従属する。
伊藤 :それは、どういう意味ですか?
中嶋 :要はシナリオ脱落だ。
伊藤 :そ、そんな……
伊藤 :SAN(35)→10 成功 1D8→1
:SAN(35)→34
2019.9.27
終に初の脱落者が出てしまいました。
まさかあそこでクリティカルが出るとは……
女神は中嶋さん推しの様です。
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