七条 :では、中央の部屋で合流した場面から……まずは情報共有ですね。
中嶋 :俺から行こう。丹羽に声を掛ける。何があった?
丹羽 :うん? ああ、いや、ちょっと驚いただけだ。北の部屋から急にここへ戻されたからな。
遠藤 :あのクマちゃん……正体まではわかりませんが、何らかの神話生物ですね。
伊藤 :えっ!? 神話生物がいたのか!?
遠藤 :ああ、手編みのぬいぐるみだけどな。
(啓太との再会を祈願して作った俺のクマちゃんを……!)
伊藤 :……?
(何か和希から変な怒りを感じる)
西園寺:一度、情報を整理しよう。まずは、中嶋、お前達の方でわかったことを知りたい。南の部屋
には何があった?
伊藤 :あっ、その……実はまだ入ってないんです。
西園寺:どういうことだ?
中嶋 :あそこには、ここの主が飼っているペットがいるらしい。ステラに餌をやれ、と張り紙がして
あった。他とは明らかに違う頑丈な鉄扉からして恐らくステラは危険な生物に違いない。入
るのは餌を入手してからの方が良い。
遠藤 :南はポチの部屋ですよね。なのに、名前はステラなんですか?
中嶋 :ポチは死んで、今は二代目になっているらしい。
遠藤 :KP(キーパー)、ステラに『クトゥルフ神話』を振ります。
丹羽 :俺も振るぜ。
(露骨な名前だよな)
七条 :では、先ほど失敗した二人も含めて全員で振って下さい。五人もいたら、誰か成功するか
もしれませんからね。
丹羽 :クトゥルフ神話(13)→98 ファンブル
中嶋 :クトゥルフ神話(30)→73 失敗
西園寺:クトゥルフ神話(14)→58 失敗
遠藤 :クトゥルフ神話(19)→08 成功
伊藤 :クトゥルフ神話(15)→46 失敗
七条 :では、神話技能に成功した遠藤君はステラというのはラテン語で星を意味し、そこから星
の精という神話生物のことを思い出しました。その姿は透明で不可視の存在であり、吸血
鬼の様に人間の血を吸うと言われています。この情報も共有しますか?
遠藤 :はい、俺はそれを全員に話して注意を促します。恐らく南の部屋にいるのは星の精と呼ば
れる不可視の、謂わば吸血鬼の様な神話生物です。迂闊に入らなくて正解でした。
伊藤 :吸血鬼……いるんだ、本当に……
(でも、星の精って綺麗な名前だな)
七条 :ファンブルを出した丹羽会長は神話生物と聞いて鏡に潜む旧支配者、ゴグ=フールのこと
を思い出してしまいました。SAN値が1減少です。
丹羽 :SAN(52)→51
丹羽 :くそっ、俺の貴重なSAN値が……気を取り直して続けるぜ。北の部屋でのことはかくしか
で良いよな。だが、人形が死体かもしれねえことは黙っとく。知ってたら、後で餌を取りに行く
とき、SAN(正気度)チェックされそうだからな。
遠藤 :一通り情報共有が終わったのを見て俺はこう切り出します。これからですが、全員で本の
部屋を調べに行きませんか? 現時点で必要の部屋は何の意味があるか不明ですし、ポ
チの部屋は危険過ぎます。もう二手に分かれる意味はないと思います。
(神話生物の正体がわかった以上、俺が啓太を護らなければっ……!)
西園寺:それが良いだろう。あのクマは完全に愉快犯だ。いつ、気が変わるかわからない。何かを
見落として時間を無駄にする事態は避けたい。
伊藤 :俺はそれで構わないですけど……中嶋さん、大丈夫ですか?
中嶋 :ああ、本の部屋なら鏡はないだろう。だが、念のため俺は最後に部屋へ入る。
西園寺:ならば、私が先頭で入ろう。神話生物の作った空間にある部屋だ。一体、どんな本がある
のかとても興味がある。お前達も何か気になる本を見つけたら、手に取る前に私を呼べ。も
し、それが貴重な古書ならば、粗雑に扱う訳にはいかない。
丹羽 :了解。そういうのは郁ちゃんの専門だからな。判断は任せるぜ。それじゃあ、行くか。
七条 :では、貴方達は次の情報を求めて西の部屋へと向かいました。木製の扉を開けると、そこ
は落ち着いた書斎になっていました。左右に大きな本棚があり、部屋の中央には重厚な机
と黒い革張りの椅子が一つあります。本棚を調べるなら、左右それぞれに『図書館』を振っ
て貰います。机には『目星』か『アイデア』、椅子は特に情報はありません。
丹羽 :頭数を揃えて正解だったな。俺は机に『目星』をするぜ。
中嶋 :俺は右の本棚に『図書館』を振る。
西園寺:では、私は左の本棚にする。
遠藤 :俺は右の本棚に『図書館』をします。
伊藤 :俺は『図書館』は取ってないので、机に『アイデア』をします。
丹羽 :目星(75)→91 失敗
中嶋 :図書館(85)→42 成功
西園寺:図書館(85)→02 クリティカル
遠藤 :図書館(65)→64 成功
伊藤 :アイデア(75)→41 成功
丹羽 :うおっ、危ねえ。啓太がいなかったら、情報を取り零すところだったぜ。
七条 :では、順番に描写します。丹羽会長は机を調べようと椅子に腰を下ろしましたが、その座り
心地の良さに何をするか忘れてしまいました。暫く椅子を堪能していて下さい。
丹羽 :あ~、これは人を駄目にする椅子だな……俺の事務所にも欲しいぜ……
七条 :遊んでいる丹羽会長を横目に伊藤君は机を見回しました。右手に置いてあるラテン語の
辞書を手に取ると、それには使い込まれた形跡があります。どこかにラテン語の本がある
のかもしれないと思いました。左の本棚を調べた郁は、なぜか古めかしい一冊の本にとても
引き寄せられました。怪しいと思いつつ、手がそれに伸びます。その本は『妖蛆(ようそ)の
秘密』と呼ばれる魔術書で郁には読めない欧州言語で書かれていましたが、頁を繰る度に
おぞましい何かが頭の奥に囁き掛け、内容が理解出来てしまいました。冒涜的な知識に脳
内を侵された郁は1/1D6のSAN(正気度)チェックと2%の神話技能を獲得です。
西園寺:……ゲームとはいえ、私には読めないと言われるのは不愉快だな。
七条 :ふふっ、すみません。次にPC(プレイヤー・キャラクター)を作るときは『その他言語』を取る
ことをお薦めします。
西園寺:そうだな。考慮しよう。
西園寺:SAN(83)→96 ファンブル 1D6→4
:SAN(83)→79
:クトゥルフ神話(14)→16
七条 :ああ、折角のファンブルが無駄になってしまいました。
西園寺:SAN(正気度)チェックには適用しないからな。残念だったな、臣。
七条 :でも、まだ機会はあります。魔術書『妖蛆(ようそ)の秘密』を読んだ郁は1D4のSAN値と
引き換えに呪文を一つ覚えられます。ルルブから好きなものを選んでも良いですが、『図書
館』のクリティカルとして僕がこのシナリオで役立ちそうなものを挙げることも出来ます。どう
しますか?
西園寺:臣が選んでくれ。
七条 :わかりました。では、郁は不可視の下僕の覚醒という呪文を覚えました。1D4のSAN(正
気度)を喪失し、1%の神話技能を獲得します。
西園寺:1D4→2
:SAN(79)→77
:クトゥルフ神話(16)→17
七条 :(『妖蛆(ようそ)の秘密』には魔力が籠もっていますが、言えば難易度が下がってしまいま
す……取り敢えず、暫く黙っていましょう)
酷く精神を消耗した郁は魔導書を本棚に戻すことにしました。パタンと本を閉じると、読んで
いたときは気づかなかったのですが、本の最後に何か紙が挟まっています。引き出すと、そ
れは手書きのメモでした。
精神転移
対象と半永久的に精神を交換する呪文。本来、多くの魔力と精神力を消費するが、以下の条件を整えれば、それなくして呪文を発動することが出来る。
1,対象と三親等以内の血族である
2,対象と目を合わせる
また、この二つの条件が揃えば、対象との精神対抗を行わずに呪文をかけることが出来る。但し、再度、入れ替わることは出来ない。
呪文をかけた者の精神が死んだ場合、対象の精神は元の身体へと戻る。
西園寺:それは鏡文字か?
七条 :いいえ、普通の字です。
西園寺:……成程。
(ここには二人の書き手がいる。鏡文字は鏡の中の私達で、普通の字は恐らくクマだろう。
すると、クマは自分で問題を出し、答えを用意していたことになる……やはり単なる遊びか)
七条 :右の本棚を調べていた二人は、そこには様々な生物――特に星の精――について書か
れた本の多いことに気づきました。それによると、星の精とはその名の通り星間宇宙から飛
来した地球外生命体で吸血鬼の様な特徴を持ち、目で見ることは出来ませんが、クスクスと
いう気味の悪い笑い声と細かい砂の流れる様な音で居場所の見当がつけられるそうです。
中嶋 :そんな情報が出るなら、この先で戦闘になるのは確定だな。
伊藤 :でも、星の精って妖精みたいな感じだから大丈夫なんじゃないですか。
(これならあまり怖くないかも)
中嶋 :名前の印象だけならな。
遠藤 :啓太……いや、何でもない。
七条 :ふふっ、伊藤君が気に入ってくれて僕も嬉しいです。ここでは更に『オカルト』の二倍か『知
識』を振れますが、遠藤君が自動成功なので省略します。そうした本を読んでいた二人は吸
血鬼の代表的な特徴を改めて把握しました。一般的に知られている血を吸うとか、太陽の
光に弱い、鏡に映らないなどですね。また、遠藤君は星の精が目に見えないことから不可
視の下僕と呼ばれて恐れられていることを思い出しました。左右の本棚を調べ終わった三
人は机の周りに集まり、互いにわかったことを話しました。これからどうしますか?
2021.1.23
少々鈍感な啓太です。
一応、CoCリプレイ風SSの中ではCPは未設定です。
まだ啓太は色気より食い気です。
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